三相乳化技術とは

界面活性剤を必要としない、新しい乳化テクノロジー。

「三相乳化法」は、従来の乳化方法に欠かせない界面活性剤の代わりに、柔らかい親水性ナノ粒子の物理的作用力(ファンデルワールス引力)を利用した新しい乳化方法です。この乳化方法は、物質固有の性質に依存せず粒子の大きさや形だけに依存する、従来の乳化方法とは全く違うアプローチに基づく、画期的な方法です。 この技術を広範囲の産業分野に活かして、様々な環境適応型エマルションをつくることができます。

開発者プロフィール

取締役/CTO 最高技術責任者

田嶋 和夫

神奈川大学特別招聘教授
[専門分野]コロイドおよび界面化学

CTOからのメッセージ

この技術は親水性のナノ粒子による新しい乳化方法で、同じ乳化粒子を用いてW/O型、O/W型のエマルションを作りわけることができるなどこれまでにない特徴をもっています。この乳化技術をさまざまな課題の解決や新製品の開発に役立てていただけることを期待します。

開発者経歴

1938年2月9日
東京都江戸川区生まれ。
1963年
東京都立大学大学院理学研究科修士課程修了。
1963年
東京都立大学助手。1971年理学博士(東京都立大学)。
1970年12月
松永研究奨励賞
(ラジオトレーサー法による界面活性剤の吸着の研究)
1975年 6月
伊藤研究奨励賞
(ラジオトレーサー法によるリン脂質膜に対する界面活性物質の吸着性の研究)
1984年〜
神奈川大学工学部助教授となり、1990年教授。
日本学術会議化学研究連絡委員会委員、農芸・応用化学小委員会委員長、日本油化学会会長などを歴任。
1994年 2月
油脂技術優秀論文賞 (ポリオキシエチレン硬化ひまし油系非イオン界面活性剤のベシクル形成性およびその熱的性質に関する研究)
2002年 3月
日本油化学会学会賞受賞「両親媒性物質が形成する自己組織体に関する研究」
2002年 9月
日本油化学会J. Oleo Science エディター賞受賞”Three-Phase Emulsion of Hexadecane with Dimyristoylphosphatidylglycerol Sodium Salt in Water: Interpretation by New Phase Transition in Bilayer Assembly”, J. Oleo Science, 50, (No.6),475-484 (2001)

界面活性剤乳化と三相乳化の違い

三相乳化法の安定度実験

(注1)物質の持つ構造(その構造の状態:気体・液体・個体)が外的条件によって他の構造へ移転すること

三相乳化の特徴

POINT1
界面張力の低下を必要としない乳化
POINT2
乳化油滴径が大きくても安定
POINT3
エマルションの濃縮が可能
POINT4
希釈しても油相分離が起こらない
POINT5
耐酸性・耐塩性の乳液
POINT6
異種油乳液の混合が可能
POINT7
同一組成でO/W型とW/O型エマルションの作り分けが可能

三相乳化構造がもたらす特異な物性

POINT1
ソフトカプセル化、乳化物の取り出し
POINT2
可溶化
POINT3
固体分散(水相および油相)
POINT4
二元的機能(吸着性と乳化能)
POINT5
蒸発促進作用(部分的露出、氷山)
POINT6
O/W界面、W/O界面での付着